戸建かマンションかどちらかを選べと言われたら、都心の場合はマンションのほうが生活しやすいように感じています。ただ一口にマンションといっても様々なレベルがあり、すべてを同じように考えることはできません。売れ筋は3000万円から5000万円クラスでしょうが、バブル後はあまり聞かなくなった1億円を超えるハイクラスも実は健在で、やはりお金を持っている人は持っているのです。
1億円を超えるマンションを億ションなどと呼んだのは、1970年代のころです。当時、3LDKの平均価格が1500万円前後だったのですが、そのときに1億円を超える日本初のマンションとして登場したのが、野村紘一さんが代表を務めるアルテカの『ベルテ原宿』でした。当時は、そんな高額なマンションは売れるはずないと言われたようです。しかし、ふたを開けてみれば、即完売という人気ぶりで話題となりました。
野村紘一さんには先見性があったということになりますが、本人は売れる確信はあったけれども、時代に先駆けて勝負をした一面も否定できないようです。特に売り出す時期の見極めがかなり難しかったようです。高級マンションが、いつかは売れるときが来るだろうことはわかっていても、それがいつなのかはわかりません。今年かもしれないし、10年後かもしれません。ただ日本は高度経済成長に入っていたまさにその時だったので、その流れにうまく乗ったともいえるのでしょう。
野村紘一さんが億ションを販売するにあたって大切にしたのは、付加価値だそうです。様々な付加価値を高めていけば、それを求めるお客さんは必ずいるはずという信念がありました。また似たようなマンションであっても、それぞれ異なる付加価値を付けることによって、全く違う魅力を提供することができます。同じアルテカのマンションであっても、同じものは一つもないのです。もし他業者が真似をすれば、別の付加価値を与えた別のマンションを建てれば良いと、常に前を向いている姿勢が、野村紘一さんの特徴なのです。
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